それぞれのQoL

死を考えることは生を考えること

私の母は、見守る家族がいない時間を見計らったように一人で亡くなりました。
決して人に頼らない、自立した母の生きる姿勢がそこにあり、その死に悲しみより、清しいものを感じました。

戦争や医療技術の未発達で、死を日常的なものとして受け止めてきた世代は、生きることに丁寧で、死に対する覚悟も持ち合わせていたように思います。
仕事柄、遺言書の作成に関わることも多いのですが、遺言者は自らの最後を考えることで、
財産の承継だけではなく、今後の自身の生き方を見つめ直す機会を持ちます。
死を考えることは生を考えることであり、納得のいく死は満足のある生により得られるものと思います。
人それぞれ多種多様な満足の形があり、生の質は他者に定義づけられるものではなく、死もまた同様です。
年齢や、性別、環境に関係なく、自分らしく生き、自分らしく死ぬこととは何かを、考え体現することが重要であり、
社会や地域が、その個人を尊重し支援する体制を整えていくことが大切であると思います。

阿部 惠子

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