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社会福祉士の鈴木真澄さんは「任意後見をしって!」という活動をしています。そこには、現在の日本は高齢者の認知症が増えているにも関わらず、成年後見制度の理解が不足しているという疑念がありました。
鈴木さんは、老いて病んでのイメージをみんなが持つことが大事だと話されました。3年前から「B笑座」というワークショップを主宰し、家族信託や後見制度など難しいことをそのまま説明するのではなく、人形劇や寸劇や朗読などを参加者とともに演じることで後見制度の仕組みなどの理解浸透を図っています。
例えば、人形劇では自閉症になったかぐや姫、若年性認知症になったシンデレラなど、誰もが知っている身近な童話をアレンジした人形劇をみんなで演じます。人形劇では人形の顔を団扇にして、それぞれの役柄を演じることで、自分自身の身になって考えることができます。身近なところから、誰でも分かりやすく、理解できるようにとさまざまな工夫をしています。
介護施設などで説明される一般的な話は難しくなりがちですが、「B笑座」でのワークショップでは世間話も含め、認知症や介護、そして任意後見制度のことをみんなで考える機会になっています。
鈴木さんたちは法律の専門家ではありません。普通の主婦や山谷で生活している労働者が自分たちの人生経験や日常生活を語り合うことで、みんなが求める任意後見の必要性を見つけ出そうとしています。見えにくくなっている問題が普段の生活の中に隠れていることも多く、何気ない世間話も大切にしていました。
繰り返して行くうちに離れていく人もあり、立ち戻ることもしばしばあったそうです。進んでは戻りの繰り返しだったとお聞きしました。
「B笑座」は、少人数のメリットを活かして、いろいろと工夫を凝らし、アレンジを繰り返しながら、病院、集会場、会議室、研修室などで定期的に行なわれてきました。福祉団体の人たちのサポートもあり、もう40回を超えています。鈴木さんの地道な活動には、現在の福祉の問題を身近なところから解決しようという強い信念と情熱が感じられました。
(2023年3月25日取材)